一輪の薔薇

地下鉄も乗るけど、タクシーに乗ることも多い。
電話も出来るし資料も見れるから。

でも、少しでも時間がある時は
運転手さんとの会話を楽しむ。

最近は仕事か仮眠状態・・・で
あまり話してないなぁ。。。

今日も資料をずっと眺めていて、
ふっと前に目をやると、

運転席さんと助手席の間に一輪のピンクの薔薇が
飾られていた。

花屋さんで買っただろう包装で、
美しく咲いていた。
そして、なんだか運転手さんの方に向いて
お喋りしてる女性のようにも見えた。

「どなたかへのプレゼントですか？」と尋ねると、

ミラーごしに優しい表情の運転手さんのお顔が見えた。
60代くらいかな。。。

「毎日、一番最後に乗っていただいたお客様に
　プレゼントしています」

と。

12年に渡り続けてらっしゃるという。
毎日だからかなりのお金になるので
他の運転手さんはマネできないとおっしゃるらしい・・・。

「でも、何故、そうされているのですか？」

「お客様に感謝の気持ちと、、、
自分のなぐさめにもなるんだ。。ほっとするよ、花があると」

ちょうど、目的地に到着。

毎日をみんないろいろな思いで生きている。

タクシーの運転手というお仕事。
ひとりの時も多く、孤独な仕事かもしれない。

でも、、、花がいやしてくれる。

あぁ、、だから、薔薇が運転手さんと
お話しているように見えたのかな。。。

運転手さんに「奥様は？」と
聞きそうになった言葉をのみこみ
お礼を言って車を降りた。

明日もがんばろう。
みんな、がんばって生きている。