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ごじゅうよんばんのおきゃくさま

ある日の銀行で。

「ごじゅうよんばんのおきゃくさま、
まどぐちへ、どうぞ」

と、何故か、いまだに違和感を感じる
機械の声に呼ばれて、椅子から
立ち上がる。

どうも好きじゃないなぁ、、この機械的な声、
ま、機械だからどうしようもないし、
どうにもならないね、、と
思いながら、窓口へ。

担当は50代女性。

瞳が大きい分、目尻の皺が深く入るのか、
笑顔が必要な仕事だからか、と
なんでもないことを考えながら、
後者だとすぐに思い出した。

外見が随分痩せられたので気づかなかったが、
かなり以前も担当してもらい、好印象が
残っていた方だ。

よく聴こえる声は、ハリがあり、
それでいて優しい。

そして、絶やさない笑顔、そして
シャープな仕事ぶりを見て、思い出したのだ。

「以前もお世話になりましたね!
でも、随分痩せられたので、
はじめは気づきませんでしたが、
声と変わらずのよくしてくださる
姿、 記憶しています」

と伝えた。

笑顔がさらに深い笑顔になり
仕事の手を止められ、両腰に
手を回されて、

「ありがとうございます」

とおっしゃって、こう続けられた。

「ひどい腰痛になり、手術と言われた
のですが、腰痛体操で乗り切ろうと
毎回何十種類の体操をしています」

と。

体重は変わらないのですが、、、と
そえられましたが、
引き締まったウエストは
体重が減るよりもいいこと(^^)

最後には

「覚えて、気づいてくださって
ありがとうございました」

と、ほんとに嬉しそうに
素敵な笑顔をいただいた。

窓口で、機械が呼んだ番号の先
が彼女で、もしかしたら一番ちがってたら
違う方だったかもしれなくて、

そう思うと、人生は一期一会、
気づいたことは伝えたかった。

そして、もし、ほんのすこしでもさらに
体操頑張ろうーって思ってくださってたら
私は嬉しいわけで、、、こちらが幸せになる。

帰り際、相変わらず無機質な声で
呼んでいる機械を見て、
ま、いっか、、と何だか
ニヤニヤしてしまった。

世の中、機械化が進んでも、
やっぱり人と話すことで
人は心にあったかいなにかを
宿す。
もちろん、冷たい何かの時も
あるけど、だからまた自分に深みや
幅や余裕ができたり、
相手を思いやれたりする。

自分のこと気づいてほしい!
誰もわかってくれない!

なんて言葉をたまに女性から
聞くけれど、

では、貴女は誰かの小さな変化に
気づいて、言葉にしていますか?

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